2月1日、松本誠先生にご講演お世話になりました。
『これからの監査委員のあり方』という演題です。
監査委員研修は、なかなか聴講していても難しいのですが、本日のレジュメを下記にご案内いたします。
4月以降は、監査委員の研修が増えそうです。
1.第2次分権改革時代の地方自治体
①第2次分権改革の焦点
・ 地方政府(完全自治体をめざす=立法自治権、行政自治権、財政自治権)
・ 住民自治(団体自治=中央からの権限移譲、住民自治=自治体内部の改革)
・ 議会改革(間接民主主義と直接民主主義、開かれた議会、二元代表制の確立)
②行財政改革と透明性の確保
・ あらゆる行政段階への市民参画強化
・ 議会の行政チェック機能の強化
・ 市民や納税者の立場からの全施策事業の再評価
③議会と議員の機能と資質の見直し
・ 行政チェック機能は働いているか?
・ 政策立案(議員提案案件)機能は働いているか?
・ 議会改革は進んでいるか?
2.監査委員制度のもつ今日的課題
①住民自治の進展と行政のチェック機能(住民の厳しい目線)
②機能していない議会と監査委員制度
③住民監査請求、住民訴訟
④市民参加行政の伸張(直接民主主義の模索)
⑤オンブズマン制度、行政(事業)評価委員会、審議会や委員会のフォローアップ機能
⑥旧来システム(議会や監査委員)と新システム(参加型チェック機能)の相違点
3.監査委員制度と機能
①一般監査(地方自治法199条:職務権限) 定期監査と随時監査
②特別監査 直接請求による監査
議会の請求による監査
長の要求による監査
財政援助団体等への監査
③監査委員に付加された権限 決算監査
金出納監査
住民監査請求による監査
④監査の結果に基づき「組織および運営の合理化」についての意見を本来監査に添えて提出
⑤監査措置の報告の義務づけ
監査の結果を参考として(首長部局)が措置を講じた際は、その旨を監査委員に通知し、監査委員は公表しなければならない(自治法199条1項12号)
⑥一般行政事務の監査(行政監査)
・ 事業評価制度の対象となる施策事業のほぼ全部が監査対象になる。
・ 包括外部監査で活用している外部からの専門的人材とノウハウの導入(世間の常識)
・ 事務事業の制度を理解し、違法性や不正がないかだけでなく、公正で合理的、効率的な行政が確保されているかどうか、も検討する。
※ 大阪市や大阪府の行財政改革における外部識者の登用による調査委員会の例
⑦全施策事業の再評価による事業の見直しや再検討
・ 市民や納税者の立場からの既存の事業の再評価
・ 公認会計士等の外部の専門的スタッフの評価・分析能力を活用し、客観的に評価・整理された問題点を市民や議会、職員向けに報告する
・ NPO法人構想日本が提唱している「事務事業の公開見直し・仕分け作業」
4.第29次地方制度調査会の答申(2009/6/16)にみる監査委員制度の強化
①監査委員の選任方法と構成
・監査を受ける立場の長による監査委員選任から、議会の選挙による選出
・議選委員の廃止。議会は行政全般を幅広い見地からチェックする本来機能を果たす
②監査能力の向上と実施体制の強化
・監査委員の専門性を高める資格を有するものや実務に精通しているものを登用する
・事務局の共同設置を可能にする制度改正の検討
③監査の実効性や透明性の確保
・監査結果の公表について、合議を要せず多数決によることができるようにし、少数意見を付して公表する
・監査結果の報告に対して長らが何ら措置を講じなかった場合も、その旨を添えて公表する
④外部監査
・包括外部監査の導入を促進し、毎年度外部監査を受ける方式に加え、複数年度に1回受ける方式も導入し、義務付け対象を拡大する
・小規模団体でも個別外部監査を導入できるように、そのための条例の制定を不要とする制度に改正する
⑤いずれも賛否両論がありまとめきれず、引き続き検討課題とすることになったが、地域主権強化の動きと連動し、大幅な改革は不可避 (29次地制調の"不運"と政権交代)
⑥議会の意思決定機能や監視機能の向上策等、議会制度の改革答申の意味 (注・参照)
5.これからの議会と監査制度、監査委員のあり方
①監査委員制度の充実強化 (形骸化している現状の改革)
・ 職員OBの排除
・ 外部の専門家の導入(公認会計士、税理士、弁護士等)
・ 市民代表の導入
・ 議員の選任(議選委員)の可否
「おいしい役職」、1年交代のたらいまわし人事、非専門性
②「首長の指揮監督を受けない独立の第三者執行機関」と位置づけられているが...
・首長の監査委員任命権 職員OBの選任、議選委員への"拒否権"発動
・監査事務局職員の任命権
・監査予算の編成権
③議会が監査委員を出すことの意味合いと矛盾
・監査委員会は一種の"司法"の役割(立法=議会、行政=首長、司法=監査委員)
・議会の最も重要な本来機能と、監査委員の機能
・議会自らの権能を軽視していることになりかねない
④監査委員の重要性の深化と、監査委員自身が遡及・訴追される時代に
・相次ぐ首長の損害賠償訴追と巨額の賠償支払い命令(退任後も追いかけてくる)
・分権時代の進展と、行政と議会の"相互寄りかかり無責任体制"の終焉
・監査能力と事務処理能力なしに就任する恐ろしさ?
⑤機能不全に陥った監査委員制度の再生
・外部専門家による監査制度(大阪市、大阪府の行財政調査委員会等)
・オンブズマン制度の充実
・議会の行政チェック(行政監視)機能の強化
・住民監査請求制度の有効活用(実効性の向上と、監査委員と議会が監査請求の監査実施
★ 松本 誠先生プロフィール
⇒ http://www.sbrain.co.jp/keyperson/K-5927.htm
【今日の言葉・・・人生の質は、習慣の性質によってほぼ決まる(3週間続ければ人生が変わるの著者:ロビン・シャーマン)】